イスラム教の一般知識を日本人は持たされていない

 今まで何度かイラン司令官殺害を解説して来た。してきたが、圧倒的に、イスラム教に対する評価が足りないなと思っていた。つまりイランという国を理解できていない。飯山陽さんの話を聞いて、なるほどと思うことが多かったので、いくつか挙げたいと思う。片方の意見だけを聞いてはいけないを久々に反省させられた。


 2020/01/21 DHC虎ノ門ニュース ゲスト:飯山陽
1、イスラム教徒は、全員原理主義
2、イスラム学者は、反米しかいない
3、イラン司令官は、反体制派粛清の象徴
4、女性に知識は、必要だが、知恵はいらない

 自分は常に、偏った意見ばかり聞かないように心掛けていた。そうしていが、飯山陽さんの話を聞いていて、我々は、わざと偏った情報しか与えられていなかったんだなと認識させられた。イスラム教やイスラム世界の情報がマイナーだったのは、我々が審神者〈さにわ〉できないように情報統制されていたからだ。

 1のイスラム教徒は、全員原理主義者は、イスラム教の根本的教義にある。イスラム教では、教義の一文一句を変えてはいけないと言う大前提がある。昔の人が考えた話が、現代に、全部通用すると思っていない我々には、理解しがたい内容だ。こういう教義をベタに信じて行動原理にするやり方を原理主義という。
 つまり、彼らは、全員原理主義者なのだ。彼らは、自分たちの教義と違う生き方をしている者は、全員不幸だと思っている。だから、世界の全員がイスラム原理主義者になるまで戦い続ける義務、ジハードを負っている思い込んでいる。だから、布教で人殺しとか戦争を積極的にする。だから、我々から見る最悪のイスラムテロ組織は、イスラム世界から見ると正しいことをしていることになる。
 2、それを日本のマスコミは、擁護してしまった。反米主義者しかいないイスラム学会の言う事をそのまま垂れ流しているのである。彼らは、反米主義者なのだ。強いアメリカは悪くて、弱いイスラムは、かわいそうと言い続けている。だから、実際は、テロ組織の原理主義の考え方もイスラム教典の基本も同じだなのに、それをちゃんと話さない。イスラム世界の印象が悪くならない様、テロ組織とイスラム教民衆の考え方は違うと嘘を吐くのである。本当だったら、その基本を話したうえで、そんな人たちばかりではないと話さなければいけない。
 3、反体制派にとって、イスラム義体制とは、共産主義国がやっていることと変わらない。彼らに言論の自由はない。イスラムは、原理主義なのだから、教義以外のことを言ってはいけないと言う情報統制をされる。下手に、反体制デモをしようものなら、粛清対象になる。イスラム革命防衛隊というのは、その宗教国体制を維持する組織。反体制粛清の象徴なのだ。昨年、イランで大きなデモがあった。その時の参加者は、イスラム革命防衛隊に、1500人も虐殺されている。それを指揮していたのが、ガセム・ソレイマニ司令官。こんなことが、今までどれだけあったのか分からない。どれだけ、イラン政府によって虐殺されているのかわからないのである。ガセム司令官は、イラン政府に英雄だと歌われているが、それは片方の顔でしかない。自由を求めている者にとっては、テロの親玉、虐殺の代名詞の人物になる。

 4の女性蔑視の話は、ドンと来るものがあった。キリスト教は、男女平等になって、我々の馴染み深いものになった。キリスト教の歴史は、常に体制の下にいた。体制が変われば、教義が変わらなくてもやっていることがどんどん変わる。魔女裁判しかり、奴隷制度しかりである。それだと、みんな唯一無二だと思えない。だから、変化することが出来た。ところが、宗教を国の一番にしていると、いくら人の知識が進歩しようと、古い教えに固執しなければいけなくなる。ここが、宗教国家の最悪な部分になる。
 キリスト教は、天動説を克服し、ダーウインの進化論を受け入れ、男女平等を勝ち取った。しかし、イスラム教国家は、これら考えが、1400年前に決めたことから抜け出せない。予言者という宗教学者先生の呪いに縛られているのである。それで、いつまでたっても、男女平等にならないわけだ。

 イラン問題を批評しようと思って、これらの知識を得ようと思ったら、相当な努力を強いられることになる。哲学が弱い日本の弱点である。こういう話を聞くと、トランプさんのガセム司令官殺害が、正義の鉄槌に聞こえてくるから不思議だ。じゃあどっちだと言う話になる。
 ガセム司令官は、体制維持のためだけに、イラン革命防衛隊をひきいて、たった一回で、デモをしていた自国民を1500人も大虐殺している。我々から見ると宗教云々の前に、こういう人殺しは、アウトでしょ。宗教云々が前に来ている人は逆か。そんなの正気の沙汰じゃない。国の政は、みんなで決めなよ。和を持って尊ぶべし。さて、皆さんの審判はどっち。