第三次世界大戦が起こる可能性。米国イラン司令官殺害

 アメリカ軍は、3日、イラン革命防衛隊コッズ部隊のガセム・ソレイマニ司令官をドローンを使って空爆し殺害した。

 ガセム・ソレイマニ司令官というのは、イラクレバノン、シリア、イエメンのイスラムシーア派軍事勢力を繋ぐ中心人物。これ等勢力がNATO軍のように、中東で、まとまられると、中東での利権が非常に不利になるアメリカとしては、目の上のたんこぶだった。これは、イスラム対十字軍の戦いでもある。
 このように中東の国々を繋いで、中東で、表立ってアメリカ、イスラエル勢力に抵抗できる要であるガゼム司令官がいると、多国籍イスラムシーア派軍が成立する。アメリカはこれを恐れてガゼム司令官を亡き者にした。これ等各々の国は、ガセムを失ったことで、この先あったであろう共闘が出来なくなってしまった。アメリカとしては、第三次世界大戦を阻止したことになる。

 ガセム司令官を殺害すると、当然、中東がきな臭くなる。だから、先に中国との経済戦争の手綱を緩めた。主要人物を殺すというのは北朝鮮金正恩には、脅迫になるので、北は強気のまま。これら一連の流れは、昨年から、準備されていたことになる。
 もし、この件を発端として、第三次世界大戦に情勢が流れ込んだ場合、ロシアが、中東への影響力を増そうと動くのは当たり前。それは、アメリカもシュミュレーションが、できている。しかし、イランの原油のお得意様である中国の動向は、彼の国が、世界に戦線を広げ過ぎているため、どこで何が起こるか不透明。それに戦力を割くと、中東での作戦に支障をきたす可能性がある。

 アメリカは、ガセム司令官を殺したことで、戦争ではなく、テロの範疇に、戦線規模が縮小されることを期待した。イラン革命防衛隊は、表立って戦うより、無著明戦争をして戦果を挙げる方が得意だからだ。ところが、イラン革命防衛隊コッズ部隊というのは、ちょっと違う。彼らは、中東のイスラムシーア派の国をまたいだ遊撃部隊で、表立った戦争もできる。テロ組織と違い、屈強な精兵ぞろい。イラン国軍の正規軍より強い。その中でも、ガゼム司令官率いるゴッズ隊というのは、イスラム教の聖都でもあるエルサレムユダヤ教イスラエルから奪還することを最終目的とした軍。それを阻止したいのがキリスト教アメリカ。アメリカ対イランは、十字軍対イスラム軍の構図そのままなのだ。

 もし、ガセム司令官が中心になって、戦争に発展したら、前出のイラクレバノン、シリア、イエメンのシーア派軍が、イスラエルへ陸戦を仕掛けてくることになり、アメリカやイスラエルが企図しているロケット戦争では、決着しないものになる。これにより、陸戦で、多くのアメリカ兵士も死ぬことになるのは明白だった。

 トランプは、バカな戦争。つまり、アメリカ兵が大量に死ぬであろう陸戦をしないためにガゼムを殺したと言っている。

 イランは、今回の件で、完全に表立って戦争が出来なくなった分、北朝鮮のように、核開発に走る。それも、自国の英雄が殺された恨みを抱いて、核開発をする。アメリカが打った先手が、後の大きな禍に繋がる気がする。戦時中に、ガセム司令官を討ち取ったのなら、そういうものだろうが、まだまだ、平和な時にやってしまったのだ。この殺害が、凶兆になる場合がある。イラン国民の中には、国に2つも軍隊はいらない。イラン革命防衛隊は、イラン経済で収入を得ている。それを国民側から見たら、軍が経済まで支配しているのは、おかしいとまで言っていた。それに、アメリカの経済制裁の性で、イラン国内では、暴動が起きている。その彼らまで、アメリカ憎しに走らせる悪手だったのではないだろうか。

 イランが戦争準備を整えた時、アメリカは、今回の付けを払わなければいけなくなる。当然イランも、ベトナムアフガニスタンの様にゲリラ戦を仕掛けてくる。正義の戦いで出て行ったアメリカは、大東亜戦争の日本軍とは真逆で、現地住民の敵意の海に溺れることになるだろう。でも、イランのそういった実行は、今年11月の大統領選挙より後になりそうだ。だから、トランプには関係ない。だから実行したわけだ。核爆弾に使えるウラン濃縮というのは、開発に時間が掛かる。

 いずれにせよ、今回のイラン革命防衛隊コッズ部隊のガセム・ソレイマニ司令官殺害は、中東の大きな火種になった。ガセム司令官を殺しただけで、イスラムシーア派連合軍がなくなるとも限らない。イスラム連合軍ができるのなら、第三次世界大戦に進む。そんな方に転んだのではないかと思えてしまった。こうなる前に、日本として急務なのは、原油に代わる代替えエネルギーの確立。イランは、いざとなったら、ホルムズ海峡を封鎖すると言っている。それに間に合うといいけど。当面は、アメリカのシェールオイルに頼るからいいのか。でも、ちゃんと自立しようよ。