44歳の長男殺した元農水省事務次官懲役6年、切っ掛けは川崎登戸19人殺傷事件

 この事件には、前段の流れがある。2019.5.28に起きた、川崎登戸19人殺傷事件である。この51歳の犯人は、カリタス小学校のスクールバスを待っていた小学生達やその親が襲われ、小学6年生の女児1人と30代男性を殺害した。両手に刃物を持っていただけでないくリュックにも包丁が日本は言っていた。
 世論では、死にたいのなら他人を巻き込むなと、大勢の人が憤った。

 この事件の後、元農水次官の44歳の息子が、近所の運動会に腹を立てて殺すぞと怒鳴り散らしたのが、犯行の切っ掛けだった。犯行日時は、川崎登戸19人殺傷事件から、すぐの2019.6.2だった。警察に出頭した熊谷被告は、警視庁に対して、川崎市で児童ら19人が殺傷された事件に触れ、「長男が子どもたちに危害を加えてはいけないと思った」という内容の供述をしている

 事件当初、引きこもりといわれていた長男は、公判で、発達障害という病気にすり替わっていた。長男をまともに育てようとしていた被告は、努力不足と判決で言われ、執行猶予を付けてもらえなかった。

 方や、人様に迷惑を掛けるぐらいなら一人で死ねと言われ、方や、そうさせないために長男を殺すまで追い詰められて父親は、努力不足だから懲役6年だと言われた。あのときは、川崎登戸と、真逆の事件が起きたなと思ったものだ。

 川崎登戸事件の時に、識者っぽい人が、「川崎殺傷事件「死にたいなら一人で死ぬべき」という非難は、控えてほしい」と言っていた。今回、その人は、息子を殺すしかなかった親を責めるコメントをしている。「殺害以外の解決策を模索する必要があった」

 そりゃ正論だ。当り前。当り前じゃなかったから、大変だったんじゃないか。

 この人は、人殺しをしようとした中年引きこもり、それも人殺しを強行しそうな強者を庇い、親の情で、息子を何年も庇い続けた実の親を よくもまあ、簡単に息子を殺したみたいな言い方が出来たものだ。俺らみたいな福祉団体に言ってくれたら救えた。とでも言いたそうなコメントだった。そんなに人を救うのが簡単だったら、毎年、何万人も自殺者が出ているわけがない。
 判決文もそうだが、前出の識者っぽい人は、息子さんのことをもっとオープンにして周りに助けを求めるべきだったと言っていた。熊谷被告の場合は、自分の立場=生活の糧を つまり農水省事務次官にまで行けた仕事を途中で捨りゃあよかったんだと脅迫しているようなものだ。直すのなら、そういう、息子さんのことを隠さなくてはいけなかった日本の風土を治してもらいたい。加害者が、被害者の場合もあるのだ。こうやって、情状酌量の余地がある人を責めるから、日本の「臭いものには蓋」体質が、根本的に治らないんだなと思った。